眼鏡か、人間か。

眼鏡が本体って、冷静に考えたら意味が分からない。

『バルタザール・グラシアンの賢人の知恵』一生付き合っていける、良き人生の手引書。

f:id:glassesorhuman:20201014185227j:plain

『バルタザール・グラシアンの賢人の知恵』ディスカバー・トゥエンティワン、バルタザール・グラシアン著、齋藤慎子訳



 どうも、僕です。
先週に引き続き、今週も本を紹介します。前回とは打って変わって、今回は人生について教えてくれる本を取り上げます。

 

タイトルのバルタザール・グラシアンという人物は、17世紀のスペインで活躍した哲学者、神学者で、イエズス会司祭者でもありました。教育的、哲学的な散文を数多く残しており、彼の著作については、哲学者ニーチェは「ヨーロッパはいまだかつて、これほど精妙にして複雑な人生の道徳律を生んだことはなかった」と記し、また神学者ショーペンハウエルも「人生のよき手引書である」と記すなど、高名な人物から高い評価を得ており、後世の哲学者、思想家に多大な影響を及ぼし、現代に至るまで様々な言語に翻訳され読み継がれています。この本は、そんな彼の著作『処世信託』に記されたものを中心に、彼の「人生訓」をまとめたものです。

 

聖職者の人生訓、というと、真面目で禁欲的、理想的な内容を思い浮かべるかもしれませんが、ここに記されているのは至って柔軟に、賢く人生のあらゆる物事に立ち向かおうという術です。

 

本書には、それらの数々がシンプルな表題と解説文の形で1ページずつ載っています。構成ですが、「人とのかかわりについて」「駆け引きについて」「会話について」「知性について」「自分自身について」「才能について」「成功について」「人生について」の8つの観点から、240もの訓示が記されています。それゆえ本は分厚く、分量も多いですが、一つ一つが簡潔にまとまっており、また難しい言葉はあまり使われておらず、翻訳も分かりやすいため、非常に読みやすくなっています。

 

この本が教えてくれることは、一見すると本当に基本的な事で、子供の頃に親や教師に幾度となく言われてきたかもしれないことです。「悪口を言いふらさない」、「他人に寛大でいる」、「真面目さを失わない」・・・といったように、大切であると頭では理解できているつもりでも、実際にそれに従って行動できているか、と言われると少し言葉に詰まるかもしれない、そういった、ともすれば忘れられがちで、だからこそとても重要な ”人生の知恵” が、この本には詰まっています。それらは聖職者や賢人でなくとも、誰もが人生を送るうえで意識していく必要のあることだと思います。現代社会においては生き方も多様化していますが、どのような生き方を選ぼうと、この本に記された数々の人生訓はきっと、貴方を適切な方向へと導いてくれるでしょう。

 

ちなみに僕がなんでこんな本を持っているのかというと、僕の実家の部屋が元々父親のもので、部屋が僕のものになった際にこれを譲り受けたのです。なのでカバー等にやたらと年季が入っています。あと中学の頃に穴が開くほど読んでいたので、ドッグイヤーの数が偉いことになってます。こういう一生付き合えるような本、一冊は持っておくと良いですよ。

f:id:glassesorhuman:20201014185137j:plain

 

それでは、今回はこのへんで!

 

www.amazon.co.jp